未来につなげる酪農「木次乳業」

自然に逆らわない生産

 「食べるということ」は、地球上の生物のいのちをいただくこと。

これが創業者佐藤忠吉の口ぐせです。一般に旬の食べ物は栄養価が高く、季節に応じて体調を整える作用をもつといわれます。たとえば夏野菜には体を冷やす働き、冬野菜には体を暖める働きがあり、夏・冬逆転して食べては、栄養や効能も無駄になる。私たちは基本的には、日本に古くからある知恵に学び、地域の気候風土にあった食品生産をしていきたいと考えています。


食品製造の要は素材

 「生産者自らが健康でなければ、まともな食べ物を供給できるはずがない」。これもまた創業者の持論です。木次乳業には社内食堂があり、全社員の昼食を賄っています。米や野菜はすべて自給自足。自社農園の田んぼや畑を耕し、無農薬で育てています。味噌や豆腐も作っています。社内自給は社員の健康を維持する手段。食べ物の安全性が見えるところで作られたものを食べる。「地産地消」の実践でもあります。と同時に、ものを作り出す技術と暮しに学び、社員研修の場にもなっています。「食品製造業の要は、素材に尽きる」という創業以来の原点を忘れないためです。


『百姓』の意味するもの

 創業者である佐藤忠吉は名刺の肩書きを「百姓」で通し、酪農を核とした有機農業にこだわり続けました。有機農法の草分けとして、「有機農業マイスター」の称号をいただき、日本有機農業研究会のメンバーとして、現在も有機畜産の推進に関わっています。百姓は百の作物を作る人。米作り、野菜作りはもとより、微生物学、栄養学、気象・天文学などに通じる知恵を駆使し、土作りに始まって炭焼き、牛飼い、養蚕、大工までをこなす人間。そうした百姓が集まり地域自給、村落共同体を再生しようと、木次の自然を大切にしながら仲間作りを続けてきました。その実践は、農村の保健・医療・福祉の向上にも尽くしたとして、日本農村医学会の「日本農業新聞医学賞」に選ばれました。


有機牛乳作りをめざして

 当社の日登牧場では、非遺伝子組換えの配合飼料、野草の混ざった牧草を餌に使っています。配合飼料は一般に流通しているものより高価ですが、将来的には原料乳になる全ての酪農家に、非遺伝子組換えと有機の飼料を使ってもらい、本格的な有機牛乳づくりに取り組む計画です。


いのちを慈しむお母さんたちへ

 子どもたちへの「食育」やスローフード運動は、そういう社会に根づくのだと思います。子どもの健康、家族の健康をあずかるお母さんたち、そして新たな生命を宿す未来のお母さんには、特に関心をもってほしいと願っています。


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